徒然なるままに、

ゆるく・気ままに日常を書けたらいいな

おっちゃん

昨日、とてもお世話になったおっちゃんの通夜があった。

この人のことは「おっちゃん」と呼ぶような仲ではなかったが、この人と出会っていなければ人生が変わっていたことは間違いない。

個人名をブログに出すことに強い抵抗があるため、便宜上 おっちゃん とさせていただく。

おっちゃんとの出会いは自分がまだ未成年の頃だった。

その頃に始めたバイト先で出会ったのがおっちゃんだった。

自分はかなりの落ちこぼれだった。

そんな中でもおっちゃんと店長は優しかった。

おっちゃんは人をよく見ていて、和を大事にしていた。

店長もその考え方は同じだったようだ。

いろんなことに興味があり、それらをそつなくこなすとても器用なおっちゃん。

店舗の中で偉い立場だったけど、威張ることは一切なく、「散歩の途中で寄りました」くらいの雰囲気で店舗に来ては仕事をしていった。

トレードマークなのか、印象的な外見だった。

事故やケガなどに繋がらないようなミスなら笑って許してくれていた。

「失敗から学べば良い」といった考えだったのだろう。

おっちゃんがいる日は心なしか嬉しかった。

自分は大学の頃、実習等で長期間休みを取ることも多々あった。

それでもおっちゃんはOKしてくれた。

人手は足りなかったが、おっちゃんと店長の人望は厚く、卒業等で辞めた人も声をかけたら手伝ってくれたりもした。

そんな姿を見ていたからか、自分が大学卒業後、就職できずにいたときにそこでのバイトを続けた。

何ら抵抗はなかった。

ただただここの居心地が良かったし、人手が足りないことも分かっていたからバイトをした。

おっちゃんは自分の就職のことや体のことを事あるごとに心配していた。

大学卒業から半年後に契約社員の仕事が決まったときも一番に喜んでくれた。

本当は人手が足りないだろうけど快く送り出してくれた。

そのため、契約期間終了後に自分は再び地元に戻り、働きだした。

おっちゃんは店にいると分かっていたからだ。

その後、勤務中に自分が倒れてしまい多大なる心配をかけてしまった。

それでもおっちゃんは見捨てなかった。

自分はここで働き続け、地元を離れるその日までおっちゃんのお世話になった。

昨年、自分の結婚が決まり店へ挨拶に行った。

おっちゃんも相変わらず元気そうで、配偶者を見たときに「素敵な人だ」と即座に言ってくれた。

とても嬉しかった。


そんなおっちゃんの突然の訃報が届いた。

悲しさよりも空虚感が大きい。

通夜か葬儀に出席したい気持ちもあるが、自分は今、生後間もない子どもがいる身。

完全母乳で育てているため子どもを預けることもできない。

かと言って、人の多いところへ連れて行くわけにもいかない。

当時のバイト仲間に葬儀に行くか聞いて、行くなら香典を預かってもらおうと思っていたが、日中のため行けないとのこと。

それなら、遅くなるけどバイト先に香典を持っていこう。

自分なりの、せめてもの弔いだ。


自分にはやりたいことがあった。

子どもが生まれたら、店の店長とかに子どもを抱いてほしいと思っていた。

この「店長とか」は店長の他におっちゃん・社員さん・先輩が含まれている。

しかし
店長は退職している。
おっちゃんは亡くなった。
社員さんは音信不通。
先輩は連絡は取れるものの店は退職後で会いに来る様子もない。

自分のやりたいことは達成出来なかった。

おっちゃんは自分が出産したことを知らない。

せめて出産したことを伝えるべきだったと後悔している。

 

何はともあれ

おっちゃん、長い間お疲れ様です。

おっちゃんと会って人生が変わった1人として、最期の時には参列できませんが、ご冥福をお祈りします。